商標は先願主義、だけど・・・
商標は先願主義。先に出願した者だけが権利を得ます。
しかし、その名称を完全に独占できるわけではありません。同一の名称であっても対象とする分野が異なっていれば、商標登録をすることができます。
商標登録出願は、商標の使用をする1または2以上の商品または役務を指定して、商標ごとにしなければならないとされています。その商標が及ぶ範囲を、予め指定して登録しなければいけないんです。
なので、同じ名称であっても、その商標が及ばない範囲であれば、同じ名称での商標登録ができる可能性がある、ということです。
商標登録を考える際は、「どんな名称で登録するか」に目が行きがちですが、「どの区分で商標登録するか」というのも非常に重要なんです。
区分

商品及び役務の区分は商標法施行令にて定められています。
また、各区分に属する具体的な商品または役務を示す規定として商標法施行規則が定められており、その指定商品または指定役務に基づいて商標の出願等が行われています。
(役務=サービスです。「サービス」を漢字で書くと「役務」、といった感じです。)
一般には、区分が異なれば同一の商標でも類似してないと考えられますが、例外もあります。同じ商標分類に属するのに類似ではなかったり、違う商標分類に属しているのに類似するとされることもあります。例えば、第20類の「まくら」(17C01)と第24類の「毛布」(17C01)は、原則として類似扱いとなります。
類似群コード
ここで(17C01)という括弧書きが出てきましたが、このようにアルファベットの前後に数字2文字を付けたものを「類似群コード」と呼びます。
これは、特許庁の審査において類似の商品または役務と判断される範囲を示したものです。特許庁の商標検索のページに「商標分類リスト」のデータベースが公開されており、この「類似群コード」をキーワード入力により検索できるようになっています。
ちなみに、加盟国に対し国際分類の採用を義務付けている「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」に基づいて、日本では平成4年4月以降、商標の分類として国際分類が採用されています。
分類の一覧表(商標法施行令 別表)
| 第一類 | 工業用、科学用又は農業用の化学品 | 
| 第二類 | 塗料、着色料及び腐食の防止用の調製品 | 
| 第三類 | 洗浄剤及び化粧品 | 
| 第四類 | 工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤 | 
| 第五類 | 薬剤 | 
| 第六類 | 卑金属及びその製品 | 
| 第七類 | 加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械 | 
| 第八類 | 手動工具 | 
| 第九類 | 科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具 | 
| 第十類 | 医療用機械器具及び医療用品 | 
| 第十一類 | 照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用、冷却用、乾燥用、換気用、給水用又は衛生用の装置 | 
| 第十二類 | 乗物その他移動用の装置 | 
| 第十三類 | 火器及び火工品 | 
| 第十四類 | 貴金属、貴金属製品、宝飾品及び時計 | 
| 第十五類 | 楽器 | 
| 第十六類 | 紙、紙製品及び事務用品 | 
| 第十七類 | 電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチック | 
| 第十八類 | 革及びその模造品、旅行用品並びに馬具 | 
| 第十九類 | 金属製でない建築材料 | 
| 第二十類 | 家具及びプラスチック製品であって他の類に属しないもの | 
| 第二十一類 | 家庭用又は台所用の手動式の器具、化粧用具、ガラス製品及び磁器製品 | 
| 第二十二類 | ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料及び織物用の原料繊維 | 
| 第二十三類 | 織物用の糸 | 
| 第二十四類 | 織物及び家庭用の織物製カバー | 
| 第二十五類 | 被服及び履物 | 
| 第二十六類 | 裁縫用品 | 
| 第二十七類 | 床敷物及び織物製でない壁掛け | 
| 第二十八類 | がん具、遊戯用具及び運動用具 | 
| 第二十九類 | 動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物 | 
| 第三十類 | 加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料 | 
| 第三十一類 | 加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料 | 
| 第三十二類 | アルコールを含有しない飲料及びビール | 
| 第三十三類 | ビールを除くアルコール飲料 | 
| 第三十四類 | たばこ、喫煙用具及びマッチ | 
| 第三十五類 | 広告、事業の管理又は運営及び事務処理 | 
| 第三十六類 | 金融、保険及び不動産の取引 | 
| 第三十七類 | 建設、設置工事及び修理 | 
| 第三十八類 | 電気通信 | 
| 第三十九類 | 輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配 | 
| 第四十類 | 物品の加工その他の処理 | 
| 第四十一類 | 教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動 | 
| 第四十二類 | 科学技術又は産業に関する調査研究及び設計、電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発並びに法律事務 | 
| 第四十三類 | 飲食物の提供及び宿泊施設の提供 | 
| 第四十四類 | 医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生及び美容並びに農業、園芸又は林業に係る役務 | 
| 第四十五類 | 冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)及び警備 |